あまりに遅いCO2低減活動の三大地域、欧州・米国・中国!
世界CO2総排出量の半分以上を占める三大地域、欧州、米国、中国が2020年までにどんな動きをしてきたのか、TOPICを入れて述べてみた。量的に差こそあれ、CO2排出量削減の方向に動いてるのは間違いないが、あまりに削減速度が遅いような気がする。詳しくは次の第2章で述べさせていただく:
➊欧州☛EV化を連呼した割には進んでいない。ディーゼル化が低下(60➡30%以下)したため、2016-2019年は逆にクルマCO2が上昇。2020年BSG化、スーパークレジットなどで95g/㎞規制まであと6.5g/㎞まで削減?とあるが、真偽は定かではない。本来目指すべきEV化、そしてCO2削減が進んでいないように思える。
➋米国☛世界の先進国で最も燃費規制が遅れている国と言える。シェール石油の恩恵(安価なガソリン)がこの国を、そしてBIG3をダメにした。これに、80%以上になるSUV化が拍車を掛けた。その中に合って、Tesla社はプレミアムカーではあるが、孤軍奮闘している。この国は一体どこに向かっているのであろうか?自分たちが世界で2番目に多くCO2を排出しているという自覚は有るのだろうか?コロナ禍で大変な時期ではあるが、バイデン政権のもと、真剣に取り組んでもらいたい。
➌中国☛米国ZEV規制に倣って、NEV規制を2019年から始めた。ただし、世界一のCO2排出国としては全く不十分というか、目先のごまかしのような気もする。NEV化されない95%のクルマをどうするのか、SUV化率が50%を超えた現実を十分踏まえたCO2削減活動をどうするのか。元々クルマの排気ガスで都市部が汚染されていたという実態から判断すれば、もっと手近なHV化から入った方が得策であった思う。中国政府は、世界で最も多くCO2を排出しているという現実から、CO2削減の活動をしてもらいたいものだ。
EV三悪をポストLiBで解決?
今のところ、クルマのCO2削減と言えば、電動化、HV化、そしてEV化となる。ただし、EVの三悪と言われる価格・距離・充電時間は未だ消費者にとっては不満足な状態である。これでは消費者は積極的にEVを購入する気になれない。最大の原因であるLiBの価格・性能・信頼性を大幅に進化させるポストLiBの展開に期待したい。これについては、第3章で詳しく解説する。
Tank-to-WheelからLCAによるCO2削減
2020年までに提出された各国のパリ協定約定内容から、2030年に上昇してしまう地球平均温度は、図10に示したように、3℃というとんでもない結果¹⁾が出てきた。一方、欧州が2030年以降にLCA²⁾でCO2排出量を評価しようという動きがあり、単にEV化だけではCO2削減は解決していかない。世に出てしまったクルマからだけのCO2排出量という考え方で評価するには無理があるようだ。これらについては、第4章で触れることにする。
いよいよ、各論について説明を始める。言葉、数式に慣れない点は読み飛ばして、楽しんで頂くことを願うばかりである。@2021.1.5記、2021.2.26修正
《専門用語の解説および参考文献》
1)「パリ協定とは?脱炭素社会へ向けた世界の取り組み」WWFホームページ@2020.6.30
2)LCA☛Life Cycle Assessmenの略。2030年を想定し、自動車のライフサイクルでCO2排出量を評価するLCAの議論が欧州で始まった。@日経Automotive2019年12月号