2016-2030年の平均シェアはHV33%、軽自37%、GV30%!
2030年の保有台数は、寿命15年として2016年から2030年まで年間420万台の新車が販売されるとして、6,300万台とした。図20にHV、軽自動車の全体販売台数に対するシェアの推移を示した。HVシェアは2016年25%から毎年1%シェアを広げて、2019年には28%まで伸びた。日本のHVシェアをこのまま伸び続けて、2030年には40%程度まで拡がっていると予想される。軽自動車はHVに押されながらも、35%~40%台をキープしている状況にある。そこで、2016年~2030年の平均的なシェアを下記のように仮定した:
❏HVシェア➡33%、軽自動車➡37%、ガソリン車➡30%@2016-2030年の平均値
出典☛「次世代自動車の国内販売台数の推移」@JAMA のデータよりグラフ化
次にHV、軽自動車、GV(ガソリン車)の平均燃費をどう仮定するか?である。図21には毎年3月に発表させる前年のe燃費Best10における平均値の推移を示した。2019年以降の燃費は然程伸びて行かないと考えて、2018-2019年の平均燃費を2016-2030年の平均実燃費とし、次のように仮定した:
❏HV=22.5(㎞/L)、軽自=19.4(㎞/L)、GV=16.5(㎞/L)
以上の仮定をもとに、2030年の平均CO2をどの程度下げられるのか、検討していく。
出典☛「e燃費アワード」@株式会社イード のデータよりグラフ化
HV・軽自動車中心の延長路線では30%低減は難しい!
先ずは現状の延長路線でHV化によりCO2削減を進めたCASE-1の場合:
各クルマのCO2は
❏HV=2320/22.5=103.1≒103(g/㎞)
❏軽自=232019.4=119.5≒119(g/㎞)
❏GV=2320/16.5=140.6≒140(g/㎞)
2016年~2030年の平均CO2は各クルマの平均シェアから、
❏平均CO2@2016-2030年
={103✖0.33+119✖0.37+140✖0.30}✖1.05=120.0✖1.05=126(g/㎞)>120(g/㎞)
このCASEでは1台の平均CO2は120(g/㎞)とズバリ目標値となるが、総台数が5%増加するため126(g/㎞)となり、目標値に達しない。
2030年EV化率10%は必要!
次にEV化を2016-2030年平均で5%、2030年には10%進めたCASE-2の場合:
❏平均CO2@2016-2030年
={103✖0.33+119✖0.37+140✖0.25}✖1.05=120.0✖1.05=118(g/㎞)<120(g/㎞)
となる。したがって、欧米のような20%(PHV含む)を超えるEV化率は必要ないが、少なくとも半分の10%は必須である。そうでなければ、年間の販売台数を400万台以下に抑えて、2030年保有台数を6,000万台にするしか手段はない。ただし、気になるのはCASE-1のままでは一体CO2の削減率は、どの程度になるのであろうか?CASE-3として検討した:
❏CO2削減割合=1-126/180✖1.05=0.265
つまり、約定削減率を30➡26.5%とすれば、CASE-1でも約定を順守できる。事実、日本政府は全体で26%、運輸部門で27.6%目標を2020年3月に再提出している。どうも、欧米諸国と同じく、現在の延長路線で達成可能な目標値を日本も提出しているようだ。@2021.1.26記
《参考文献および専門用語の解説》
1)e燃費☛自動車の燃料管理・情報コミュニティ・サイト、及び関連ソフトウェアによるサービス。株式会社イードが運営する。全国60万人のユーザーから寄せられるデータを共有・比較分析などすることにより、車種別実用燃費データやガソリン価格の情報を得たり、エンジンオイルなどの消耗品の交換時期を管理したりできる。実燃費を把握するには最適。サイトは2000年6月に開設され、14年月現在、月間ページビューは約300万、月間燃料入力数は7~8万件(2014-1-29)@知恵蔵miniの解説