ボルタ電池では負極材のZnが希硫酸でより安定したZnSO₄になることで自由電子⊖を送出していました。アルカリ電池も同じく負極材のZnが水酸化物イオンOH⁻で酸化され、ZnOになることで自由電子⊖を送出していました。さて、このリチウムイオン電池でどうなのでしょうか?
ここでは名称通りリチウムイオンLi⁺が主役です。まず、構成例から図10を使って説明します。
注)「トコトンやさしい電気自動車の本」廣田幸嗣著;p81 より加筆
アルカリ電池では、亜鉛が電子を放出しやすく、二酸化マンガンが電子を受け取りやすいという化学的性質の差が電池の原動力(電位差をつくる力)でした。
一方、リチウムイオン電池では、それに対応するのが「黒鉛はLi⁺を放しやすく、コバルト酸リチウムはLi⁺を受け入れやすい」という性質の差です。この差が電位差を生み、電子は外部回路を、Li⁺は電解液中を移動して放電が進みます。これをリチウムイオン電池のロッキングチェア機構と言ったりします。
図10に示したリチウムイオン電池の構成例において、両極材に選ばれた材料の黒鉛C₆、コバルト酸リチウムLiCoO₂は共に規則正しい層状の結晶なんですね。LiCoO₂で言えば、コバルト層ーリチウム層ー酸素層ーコバルト層ー…というように各層が交互に並んでいます。黒鉛も炭素層が層状に並んでいる結晶なんですね。
では何故放電(電流が流れる)時、Li⁺イオンが黒鉛C₆の層から電解液を通ってコバルト酸リチウムLiCoO₂の層に入り込むのか?充電時には逆にLi⁺イオンが黒鉛C₆の層に入り込むのか、放電時、充電時に分けて説明していきましょう!