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1-1 欧州の動き

2021年95gr/㎞規制は守れるのか?

欧州では2021年燃費規制95g/㎞が施行される。2015年130g/㎞からのCO2量削減となり、走行モードもNEDC¹⁾から実走行モードに近いWLTC²⁾となる。CO2量も測定モードも共により厳しくなるという2021年燃費規制である。

規制値95g/㎞に対して、メーカーの平均CO2の排出量が1g/㎞超過する毎に95Euro/台の罰金が科せられる。2018年の実績から推定された各メーカの罰金予想結果(2021年&2025年)を図2に示した。2025年規制値を81g/㎞とした予想結果である。また図3には欧州平均CO2の排出量推移2015年から2020年8月までの実績を示した。

まず、欧州最大販売台数を誇るVW社の2021年罰金リスクは何と4,570億円にも上る。Diamler社、BMW社も販売台数にしてはかなりの罰金リスクであるが、あくまでプレミアムカーメーカー。販売価格に上乗せ(消費者負担)も十分考えられる。VW社の場合、プレミアムブランドAudi社を除けば、一般大衆車に対する罰金となる。一体どうするのか?2大メーカーの相手方トヨタはHVで95g/㎞規制を何とかクリア。大きな違いである。欧州排気ガス規制でお得意のRelax規制値にしない限り相当な負担を強いられると考えていた。

図2 German3の罰金リスク@2021年

出典☛日経Automotive(2018年6月号)@日経BP社;p92 より加筆

欧州2021年規制緩和が始まった?

 やっぱりと思うような、欧州CO2排出量に信じられない変化が現れた。2020年1-6月までは118.5g/㎞と予想された値³⁾であった。VW社も2019年の平均CO2は121.2g/㎞とほぼ予想通りの値となっていた。ところが、2020年1-8月実績では欧州CO2排出量は、何と102.2g/㎞まで16g/㎞も下がったのだ⁴⁾。

図3 2020年欧州CO2排出量が大幅に低下?

出典☛日経Automotive(2020年12月号)@日経BP社;p50 より加筆

説明は販売台数に内、67%が電動車(内訳不明?)となったというものだった。さらに、Relax規制というべき、スーパークレジット⁵⁾が適用されている。それにしても、電動化率67%でこんなに急激下がるとは未だに思えない。欧州電動化の主流はBSG⁶⁾化で、燃費効果は5-10%程度しか望めない。すべてBSG化してもCO2量は110-115g/㎞程度だ。また今の欧州のEV化率では多くて2%程度であり、スーパークレジットの恩恵も少ないように思える。さらに悪いことに、欧州も米中と同じようにSUV化率が上昇している。2015年17%程度であったのが、2019年には40%近くまで上昇³⁾している。いくらEV化、PHV化が数%拡がったとしても、欧州SUVの平均CO2は130g/㎞を超えている。4割がSUVでありながら、2020年には平均CO2が突然102.2g/㎞になる。どうみても不自然であり、真偽のほどは疑わしい。彼らにとって、唯一神風となったのは不謹慎ではあるが、コロナ禍お蔭で販売台数が減少し、罰金総額が下ったことぐらいだろう。欧州は「何故CO2を大幅に下げられたのか?」について明確にその理由を表明すべきである。しばらく静観して情報を収集していきたい。@2020.12.28記、2021.1.11修正

《専門用語の解説および参考文献》

1)NEDC☛New European Driving Cyclesの略。欧州における乗用車等(軽量車)の排出ガスや燃費評価に用いるテスト・サイクルで、1992年のEuro1以降に採用されたもの。

2)WLTC☛Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycleの略。世界的に調整された自動車の試験方法。WLTCモード燃費とは、その試験法に基づいて算出した燃費数値。欧州では2018年から導入されている。

3)日経Automotive2020年12月号;P51

4)日経Automotive2021年1月号;P44

5)スーパークレジット☛EV、50g/㎞未満のPHVに対しては、販売台数1台につき2台とカウントして計算できる。つまり、その分平均CO2量が薄くなるということ。@日経Automotive2021年1月号;P45

6)BSG☛Belt-driven Starter Generatorの略。スターターとジェネレーターを兼ねるモーター(発電機)を強化して、エンジンの補助出力に使う仕組みのマイクロハイブリッドと言われるシステム。

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