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2-1 平均CO2*とは

何を指標にCO2低減を評価する?

 さて、ここから主要地域でのクルマから排出されるCO2発生量は量を議論していく。パリ協定の約定内容は、具体的には2013年度比でCO2の総排出量を約30%も削減していこうというものだ。2020年に各国から削減計画が提出されたが、残念ながらこのままの計画では2030年には2000年から3℃も気温上昇してしまうとこととである。

 先ずは、パリ協定の本拠地である「欧州(EU)」の平均CO2@2013年、平均CO2*@2030年の算出をしてみよう。CO2低減目標は、「パリ協定の約定目標2013年度比で2030年度に24%削減¹⁾」ということであった。ちなみに、米国18-21%、日本26%となっている。そこで、現状の延長線上でも到達できそうな目標値ではなく、ここでは少し上限を目指して、各地域が保有しているクルマのCO2量を「2030年に2013年比30%削減」とした。

 2013年比ということは、2013年で保有するクルマの数量、CO2量が必要となる:

❏目標削減率30%=ΣクルマのCO2量@2030年/ΣクルマのCO2量@2013年

この分母、分子を計算する時、「いくつかの仮定」と「平均CO2」という考え方(決して難しい考えではない)が必要になる。何故平均CO2という考え方を適用するのは、各国の排出CO2を絶対量grで議論すると、とんでもない量となり比較も難しくなる。あくまで、各国の2013年比でCO2を何%削減するのか、という話であり、絶対量を比較しない。2013年、2030年保有台数で無次元化した方が分かりやすいのではと考えた。

たとえば、2013年にCO2が120gr/㎞のクルマを1万台保有する国があったとする。クルマのCO2総排出量のポテンシャルは、120gr/㎞×1万台=120万・gr/km ということになる。ここで、ポテンシャルという言葉を使ったのは、走行距離が分からないから、これだけCO2を排出してしまうクルマを所有しているということだ。つまり、ここでは120gr/㎞がその値であり、これを平均CO2と定義する。したがって、何種類かのCO2排出量が異なるクルマを所有した場合でも、あくまで保有するクルマのCO2排出量のポテンシャル比較となる。したがって、平均CO2を次のように定義した:

❏平均CO2=Σ{各保有台数×各平均燃費からのCO2量(gr/㎞)}/保有総台数

パリ協定=平均CO2*を30%低減!

 次に2030年におけるクルマのCO2排出ポテンシャルとして平均CO2*を定義した:

❏平均CO2*@2030年=平均CO2@2030年✖保有台数@2030年/保有台数@2013年

2030年では平均CO2に台数増減比をかけたものをCO2の排出ポテンシャルとして、CO2*で表現した。したがって、2013年に対する2030年の増減率は次にように算出される:

❏CO2増減率@2030年=平均CO2*@2030年/平均CO2@2013年

 =平均CO2@2030年/平均CO2@2013年✖保有台数@2030年/保有台数@2013年

この定義式から言えることは、2030年のCO2削減率を大きくするには、

1)2030年の平均CO2を削減すること

2)2030年の保有総台数を削減すること

である。例えば2030年に保有台数が1万台のまま、1台当たりのクルマのCO2排出量が120➡60gr/㎞になった場合、CO2増減率@2030年は、

❏CO2増減率@2030年=60(gr/㎞)/120(gr/㎞)×1万台/1万台=0.5(50%)

となる。つまり、全保有台数のクルマに対するCO2排出ポテンシャルは半減されたことになる。また、1台当たりのクルマのCO2排出量が120gr/㎞のままで保有台数が半分の0.5万台になった場合でもCO2削減率は、

❏CO2増減率@2030年=120(gr/㎞)/120(gr/㎞)×0.5万台/1万台=0.5(50%)

となり、半減できる。これが平均CO2*の削減率いうことだ。要するに、平均CO2*@2030年を算出して、平均CO2@2013年との比を求めれば、目標平均CO2@2030年が算出できるということだ:

❏目標平均CO2@2030年

 =CO2削減率@2030年✖平均CO2@2013年✖保有台数@2013年/保有台数@2030年

 =(1-削減割合%)✖平均CO2@2013年✖保有台数@2013年/保有台数@2030年

以上のことを図2に簡単にまとめてみた。

要するに、各国ともクルマCO2の排出量削減に躍起になっているが、保有台数を抑えることも重要な方策の一つになる。シェアリングなどがその好例となる。また、排出量のポテンシャルを表す平均CO2では表せなかったが、クルマの走行距離(使用頻度)を下げることも重要なCO2削減策の一つとなる。

この後、欧州、米国、そして日本を例に取り上げて、

1)平均CO2@2013年、CO2を30%削減する目標平均CO2@2030年を算出

2)クルマの電動化(HV、PHV、EV)による目標達成予想

について順次説明していこう。各国ともいくつかの仮定で計算されていくことになるが、しばらくは我慢して解説を読んでもらいたい。@2021.1.7記

図2 平均CO2*によるCO2増減率

《参考文献および専門用語の解説》

 1)「今さら聞けないパリ協定」@経済産業省(2017.8.17)

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