くわな科学技研
  • ➊くわな科学技研って?
  • ❷代表者はどんな人?
  • ❸グリーン社会をめざして!
  • ❹何をやっているのかな?
  • ❺講演会のテーマは?
  • ❻どんなセミナー教育?
  • ❼セミナー教育の具体的概要とは?
  • ❽お手続きの流れ
  • ❾おらが村にEVが走る⁉(GV、HV編)
  • ➓おらが村にEVが走る⁉(EV編)
  • ⓫雑学談話「電気・モーターのはなし」

2-4 平均CO2目標@米国2030年

2030年の予想保有台数は2013年比5%増で2.41億台

 さて、欧州のケースと同じように、2030年の目標平均CO2を算出していこう。目標削減率は、2013年比で30%とする。初めに、米国が2013年に保有していたクルマの総台数を推定してみよう。クルマの寿命は15年とする。したがって、1999年~2013年の新車販売台数の総和が保有台数ということになる。図9に米国における2000年から2019年までの新車販売台数の推移を示した。ここで、2008年の激減要因は欧州と同じようにリーマンショックの影響である。米国は立ち直りが早く、2年後の2010年には増加傾向に戻っている。そこで、1999年の販売台数を1,700万台とすると、2013年の保有台数は次のようになる:

❏米国乗用車保有台数@2013年=Σ1999-2013年=2.30億台

さらに、2015年~2019年では1,700万台前後で元に戻っているようにみえる。欧州と同じく、クルマの寿命は15年とすると、2016年~2030年までの保有台数は次のようになる:

❏米国乗用車保有台数@2030年=Σ2016-2030年=1,700万台✖15=2.55億台

❏2030年保有台数/2013年保有台数=2.55/2.30≒1.10

となり、2013時点に比べて10%増加したことになる。ただし、ここでも2020年からのコロナ禍の影響を受けるため、5%増加に留まると仮定した:

❏米国乗用車保有台数@2030年=2.30✖1.05=2.41億台

図9 新車販売台数@米国2000-2019年

出典☛2019年の米国新車販売台数は1.3%減少@JETRO(2020.2.28)

目標平均CO2=346➡231gr/㎞@2030年で欧州の1.8倍!

 次に2013年に保有した2.3億台の平均CO2を算出する。図10はEPAが発表した論文²⁾からの抜粋である。横軸に年代(Model Year)、縦軸には乗用車(Cars)、SUV(Truck)、全体平均の燃費³⁾(MPG)が示されている。論文に明記された2016年データでは

❏全体=24.7MPG、乗用車=28.5MPG、SUV=21.2MPG

となっており、この時点では乗用車に比べてSUVは34%も燃費が悪化している。

 そこで、図10から1999年~2013年の燃費データを読み取って平均平均値を算出した:

❏平均モード燃費@1999年-2013年=20.9MPG=8.88≒8.9㎞/L

❏平均実燃費@1999年-2013年=8.9✖0.75⁴⁾=6.675≒6.7㎞/L

したがって、2013年に保有するクルマの平均CO2は

❏平均CO2@2013年=2320/6.7=346.3≒346gr/㎞

以上の結果から分かるように、欧州と比較すれば約2倍弱程、燃費は悪いと言える。この悪い燃費で、2030年にCO2を30%低減する目標平均CO2を算出すると、

❏目標平均CO2@2030年

=(1-削減割合)✖平均CO2@2013年✖保有台数@2013年/保有台数@2030年

=(1-0.30)✖346✖2.3/2.41=231gr/㎞

米国の目標平均CO2@2030年を図11に示した。2030年には保有台数の増加が予想されるため、多少厳しくなったが、欧州に比べればまだまだ緩い結果になっている。米国が削減目標値である「231gr/㎞」を達成するために、どんなクルマ構成にしていけばいいのか、第5話で説明する。@2021.1.16記

図10 クルマの燃費推移@米国1975-2016年

出典☛「Highlights of CO2 and Fuel Economy Trends」@EPA(2017.1.19) から加筆

図11 平均CO2@2013年と目標平均CO2@2030年

 

《参考文献および専門用語の解説》

1)「乗用車普及台数の国際比較(2011年)」社会実情データ図録@2013.9.4

2)「Highlights of CO2 and Fuel Economy Trends」@EPA(2017.1.19)

3)燃費の単位(MPG)=1.609㎞/3.785(L)=0.425(㎞/L)

4)日本の実燃費換算として、2013年には0.75、2030年には0.70を用いた。

くわな科学技研

❏E-mail☛

kwn-kagakugiken2012

@wa2.so-net.ne.jp
kwn.kagakugiken130722

@gmail.com

お問合せはこちらから

概要 | プライバシーポリシー | サイトマップ
Copyright (c) kuwanagiken. All Rights Reserved.
ログイン ログアウト | 編集
  • ➊くわな科学技研って?
  • ❷代表者はどんな人?
  • ❸グリーン社会をめざして!
  • ❹何をやっているのかな?
  • ❺講演会のテーマは?
  • ❻どんなセミナー教育?
  • ❼セミナー教育の具体的概要とは?
  • ❽お手続きの流れ
  • ❾おらが村にEVが走る⁉(GV、HV編)
    • まえがき
    • 第1章 クルマ談義の始まり!
      • 第1話 はじめに
      • 第2話 10の疑問点
      • 第3話 EV化は進むのか
      • 第4話 燃焼サイクル
      • 第5話 燃焼室の圧力
      • 第6話 理論熱効率
      • 第7話 正味熱効率
      • 第8話 ディーゼル熱効率
      • 第9話 平均有効圧力
      • 第10話 燃料消費率等高線
    • 第2章 GV、DVは消えるの?
      • 第11話 化学反応式
      • 第12話 三元触媒のしくみ
      • 第13話 理論空燃比制御
      • 第14話 Downsizing-Turbo
      • 第15話 超希薄燃焼技術➀
      • 第16話 超希薄燃焼技術➁
      • 第17話 クリーンディーゼル
      • 第18話 VW社不正問題➀
      • 第19話 VW社不正問題➁
    • 第3章 日本で花開いたHV!
      • 第20話 歴史を紐解く
      • 第21話 3つのHV
      • 第22話 Tank-to-Wheel効率
      • 第23話 HVの走行パターン
      • 第24話 HVの燃費モデル
      • 第25話 各Tank-to-Wheel効率
      • 第26話 シリーズHV
      • 第27話 なぜ日本だけ?
    • あとがき(GV、HV編)
  • ➓おらが村にEVが走る⁉(EV編)
    • 第1章 パリ協定は燃費規制❔
    • 第2章 クルマのCO2は下った❔
    • 第3章 EVに賭けるしかない❔
    • 第4章 世界が動き出した❕
  • ⓫雑学談話「電気・モーターのはなし」
    • はじめに
    • 第1章 電池のはなし
      • 1-1 電流とは?
      • 1-2 水流と電流
      • 1-3 オームの法則
      • 1-4 電力と電力量
      • 1-5 電流と電圧
      • 1-6 電解液
      • 1-7 化学電池とは?
      • 1-8 電池の種類と構成
      • 1-9 アルカリ乾電池
      • 1-10 2次電池
      • 1-11 エネルギー密度
      • 1-12 鉛蓄電池
      • 1-13 ニッケル-水素電池
      • 1-14 リチウムイオン電池
      • 1-15 ポストLiBを求めて
閉じる