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第24話 HVの燃費モデル

「今日は昨日説明した効率モデルでHVが運転されているとすると、ガソリンエンジン走行割合A、シリーズHV走行Bを実燃費(㎞/L)は一体どの位なのか、e燃費(㎞/L)のデータを使って求めることにしよう!純くんはe燃費のこと、知っているかな?」

「e燃費?ちょっと聞いたことないなぁ・・・」

「e燃費サイトでは、満タン時に補給した燃料(L)でどれだけ走行(㎞)したのか、ユーザーから投稿されてくる。そのデータに基づいて、どのクルマの実燃費がどの位なのか、一目瞭然で分かる。e燃費はこの興味深いサイトによる燃費(km/L)情報だよね。図3-9に2年前のe燃費アワード²⁴⁾2016-2017のデータからHV部門、GV部門の2016年Best10を棒グラフで示した。」

 

図3-6 HVとGVのe燃費

出典☛「e燃費アワード2016-2017」データ より加筆

 

「第1位プリウス(4代目)、第2位アクア、第3位フィットと続いており、10台の平均燃費(算術平均値)は21.1(km/L)だった。一方、GV部門では2016年Best10の実平均燃費は15.3(km/L)となった。またGV部門から除外した軽自動車部門では19.9(㎞/L)という結果であった。」

「なんか、雑誌、チラシでみる数字の燃費とは随分低い気がするけれど?」

「一般に見る数字はモード燃費²⁵⁾といって排ガスモードでの燃費測定値で、実燃費よりも大きな値になる。そこで、e燃費データにはモード燃費に対する実燃費の達成率も明記してあって、GV、HV、軽自動車のBest10機種の平均値は、次の通りだった:

1)GV ☛平均燃費達成率=70.5%

2)HV ☛平均燃費達成率=67.0%

3)軽自☛平均燃費達成率=65.6%

そこで、たとえば3つの平均値=67.7≒70%を2016年の燃費達成率とした。すると、2016年のGV、HV、軽自動車のBest10機種の平均モード燃費は

➊GV ☛モード燃費=15.3/0.70=21.9(km/L)

➋HV ☛モード燃費=21.1/0.70=30.1(km/L)

➌軽自☛モード燃費=19.9/0.70=28.4(km/L)

となる。あくまで、参考までの数字だけどね。」

「この燃費の値なら、よく見る数字だね。」

「さて話を進めると、2016年の実燃費平均値を最近のクルマの実燃費と考えるのもあまりに単純過ぎると思い、2015年のe燃費アワード2015-2016のデータも加えて2015-2016年の2年間のGV、HV、軽自(軽自動車)の3つのe燃費の平均値を取った:

➊GV ☛e燃費=(16.7+15.3)/2=16.0(km/L)

➋HV ☛e燃費=(20.9+21.1)/2=21.0(km/L)

➌軽自☛e燃費=(19.5+19.9)/2=19.7(km/L)

このe燃費(GV)=16.0(km/L)、e燃費(HV)=21.0(km/L)を使って、割合A(%)、B(%)を算出してみよう。」

「先ず効率と実燃費の関係は比例関係にあるよね。」

「そうだね。つまり、効率比=実燃費比となるよね。したがって、Tank-to-WheelにおけるHVとGVの効率ηT2の比は、

効率ηT2の比=効率ηT2(HV)/効率ηT2(GV)=e燃費(HV)/e燃費(GV)

      =21.0(km/L)/16.0(km/L)=1.3125≒1.3

ということになる。昨日の話から、効率ηT2は次式で表された:

ηT2(HV)=η1+η2=0.22×A(%)/100+0.36×B(%)/100;ただし、A+B=100

以上の関係式からA=52.85≒53(%)、B=47.15≒47(%)となる²⁶⁾。A≒B=50%と考えると、最近2年間のe燃費(実燃費)データから

HV走行@2015-16年=ガソリンエンジン走行50%+シリーズHV走行50%

となり、図3-7に示したようなHVの燃費モデルとなる。」

 

図3-7 HVの燃費モデル@2015-16年

 

「つまり、燃費という観点からは、HVと言うクルマはエンジン走行が半分、シリーズHV走行が半分というクルマと言うことができる。HVのトータル効率ηT2を計算すると、

ηT2(HV)=0.22×0.50+0.36×0.50=0.29=29(%)

という結果になる。要するに、ηT2(GV)=22(%)の1.3倍だね。」

「なるほどね。半分はエンジンの最小燃費領域での発電であるため、その電力を使えば、たとえモーターで効率が90%であったとしても燃費は良くなるというということか・・・。何故HVの燃費がいいのか、またHV走行とは本質的にどういう走行のことを意味するのか、このモデルの簡単化でようやく分かってきたよ。」

「ここで、あえてディーゼル乗用車を取り上げなかったのは、日本市場のシェアが5%程度だ。そのため誤差も多いだろうということで、GVとHVの比較だけをした。ちなみに軽自動車の効率は燃費比から、

ηT2(軽自)=ηT2(GV)×19.7/16.0=0.22×19.7/16.0=0.27=27(%)

となる。」

「なるほど。Tank-to-Wheelの効率ηT2を整理すると、ηT2(GV)=0.22、ηT2(HV)=0.29、ηT2(軽自)=0.27 ということか?」ということで、HV効率からHVがどんなクルマなのか、またGV、HV、軽自のTank-to-Wheelの効率ηT2はどのくらいなのか、純一郎は理解できたようだった。@2018.12.14記、2019.7.28、2019.12.15修正

 

《参考文献および専門用語の解説》

24)e燃費アワード☛毎年3月初めに前年の投稿データによるe燃費アワードがGV、HV、軽自動車など部門別でBest10を発表。

25)モード燃費(㎞/L)☛ここでは日本の10-15モード燃費、J08Cモード燃費、WLTCモード燃費のことで、排気ガス測定モードにより燃費を測定する。実燃費とは異なり、その差が問題になりつつある。

26)効率ηT2(HV)/効率ηT2(GV)={0.22×A+0.36×B}/0.22={0.22×A+0.36(1-A)}/0.22=1.3

☛A={0.36-1.3×0.22}/(0.36-0.22)=0.5285。B=1-0.5285=0.4785。したがって、A=53(%)、B=47(%)となる。

 

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