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第25話 Tank-to-Wheel効率の比較

「今日は、HVのモデル化で考えた仮定を超希薄燃焼GV、PHV²⁴⁾まで広げて、Tank-to-Wheelの効率ηT、実燃費(㎞/L)を推定してみることにしよう!ただし、各クルマの名称が少々長すぎるので、GV40、GV50、HV40、HV50、PHV50と略称²⁵⁾で呼ぶことにする。また、ここでの討議では効率と言えば、しばらくはTank-to-Wheelの効率ηT2のことを言っているので、これもηT2➡ηと表す。例えば超希薄燃焼技術を使った最大熱効率50%のGVであればGV50として、そのTank-to-Wheelの効率ηT2のことはηGV50とする。

そこで、GV40~PHV50のTank-to-Wheelの効率ηを比較してみよう。先ずGV50の効率、燃費から計算すると、超希薄燃焼の熱効率を50%と考え、軽負荷も燃費が良くなるから下限の熱効率を15➡20%に引き上げる。すると、Tank-to-Wheelの効率ηGV50は、

ηGV50=(0.20~0.50)×0.80=0.28(0.16~0.40)

すると、GV50の推定実燃費は、GV40の燃費、効率比から、

燃費(GV50)=16.0×0.28/0.22=20.4(km/L)

これに対して、HV40の効率は0.29、燃費は21(㎞/L)だから、正味熱効率50%に向上できたGV50でさえも、やっとHVとほぼ同等の効率、燃費だと言えるね。こう考えると、今のHV40の効率、燃費ポテンシャルは相当高いということだね。」

「なるほどね。エンジンだけのクルマでは、夢のエンジンを載せても燃費ではHVに近づくだけか?」

「でも超希薄燃焼技術をHVエンジンに使えば、当然HVの効率、燃費は上がる。HV50のTank-to-Wheelの効率ηHV50を計算すると、

エンジン運転時の効率η1HV50=0.28

エンジン発電時の効率η2HV50=0.50×0.9=0.45

Tank-to-Wheelの効率ηHV50の加重平均値は

効率ηHV50=η1HV50+η2HV50=0.28×0.5+0.45×0.5=0.365 ←ηHV40=0.29

すると、HV50の推定実燃費は

燃費(HV50)=21.0(HV40の燃費)×0.365/0.29=26.4(km/L) ←燃費(HV40)=21(㎞/L)

とHV40に対して大幅に伸びるね。」

「では超希薄燃焼技術を使った、PHV50ではさらに伸びるということか。」

「ではTank-to-Wheelの効率ηPHV50を計算してみようか?これは外部充電して走行する割合が、全体に対してどの程度かということがポイントになる。e燃費でPHV登録ユーザーの外部充電の走行割合は42.6%になるそうだ。つまり4割EV走行で6割HV走行ということだね。そこで今回は辛めに外部充電割合を30%とする。この時Tank-to-Wheelの効率であるため、外部電源からの発電効率(CO2発生)は考えなくていい。ただしモーター効率は90%とする。すると効率ηPHV50は、

効率ηPHV50=η1(エンジン走行)+η2(エンジン発電走行)+η3(外部充電走行)

     =0.28×0.5×0.7+0.45×0.5×0.7+0.90×0.3=0.525≒0.53

すると、PHV50とGV40との効率比(燃費比)は

効率比(燃費比)=効率(PHV50)/効率(GV40)=0.53/0.22≒2.409=2.41

燃費(PHV50)=16.0(GV40の燃費)×2.41=38.5(km/L)

PHV50ではGV40の効率、燃費を2倍以上得ることが出来そうだ。やはり、外部充電に頼るということは大きいね。ただし、Tank-to-Wheelの燃費だから、計算上燃費(発生CO2量)はゼロになってしまう。PHV40の効率、燃費でも計算²⁶⁾すると分かるけれどηPHV40≒0.47、燃費(PHV40)=34.1(km/L)となり、やはり2倍以上となる。こう考えると、外部充電に頼るというのは大きいね。」

 

図3-8 Tank-to-Wheel効率と実燃費の比較

 

「こう考えていくと、エンジン燃費向上はさらにHV、PHVを大きく向上させることになる。だから、エンジンの燃費をさらに向上させることは、ますますこれからも重要になって来ると思う。さてPHV40は将来的にはPHV50になると考えて、GV40~PHV50のTank-to-Wheelの効率ηT、実燃費(推定値)を図3-8に一挙にまとめてみた。」

「熱効率40、50%のGV、HV、PHV、それに軽自動車も入れて効率、実燃費をまとめたあるのを見たのは、僕は初めてだね。これでいろんな話が出来そうだ。HV、PHVの効率と言っても、何かボヤっとしていたけれど、仮定をおいて数値化していくと見えてくるもんだね。面白い!」

「図3-8の値は、最後の燃費(CO2発生量)の議論まで非常に重要な数値となるので、心に留めておいてほしい。」細かい計算も多かったので、博士もさすがに疲れてしまった。中学生の孫とクルマ談義をする際には、具体的に数値化すると分かってもらえそうだ。またハカセも頭の整理が出来て自分自身の勉強になって来たと思い始めていた。@2019.7.28記、2019.8.3、2019.12.21修正

 

《参考文献および専門用語の解説》

24)PHV☛プラグインハイブリッド車の略。コンセントから差込プラグを用いて直接バッテリーに充電できるハイブリッド車であり、PHV (Plug-in Hybrid Vehicle) またはPHEV (Plug-in Hybrid Electric Vehicle) と略される。ガソリンエンジン車の給油性能を残しながらEVにより近いタイプのハイブリッドカーである。@Wikipedia

 25)各クルマGV40~PHV50までを次のように略する:

❏GV40☛正味熱効率が40%のエンジンを搭載したGV

❏GV50☛正味熱効率が50%(超希薄燃焼)のエンジンを搭載したGV

❏HV40☛正味熱効率が40%のエンジンを搭載したHV

❏HV50☛正味熱効率が50%(超希薄燃焼)のエンジンを搭載したHV

❏PHV50☛正味熱効率が50%(超希薄燃焼)のエンジンを搭載したPHV

26)効率ηPHV40=η1(エンジン走行)+η2(エンジン発電走行)+η3(外部充電走行)=0.22×0.5×0.7+0.36×0.5×0.7+0.90×0.3=0.473≒0.47

すると、PHV40とGV40との効率比(燃費比)は

効率比(燃費比)=効率(PHV40)/効率(GV40)=0.47/0.22≒2.13

燃費(PHV40)=16.0(GV40の燃費)×2.13=34.1(km/L)

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