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1-10 二次電池

充放電時にどんな酸化還元反応が生じる?

 二次電池とは充電することで繰り返し使える電池であることは、節1-8で既に述べてきた。一次電池ではアルカリ電池のようにプラス極活物質二酸化マンガン、マイナス極亜鉛が放電が進むことにより、化学反応で量的に減少していく。そして、ある時間で電位差を設けることが出来なくなり、いわゆる電池の寿命となる。

 そこで、酸化還元反応をを放電だけでなく、外部から充した時も酸化還元反応を起こし、充電を可能にしたのが二次電池ということになる。事例として鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池を例に取り上げて、放電時、充電時に負極、正極で行われているプラスイオンの移動、生成化合物を具体的にまとめてみた。節1-11以降で詳しく説明するが、どんな反応が行われているのか、見て頂きたい:

➊放電時:

❏負極☛プラスイオンが電解液中に溶け出し、自由電子を放出する(酸化反応)

1)鉛蓄電池:プラスイオン=鉛イオンPb²⁺

2)ニッケル水素電池:プラスイオン=水素イオンH⁺

3)リチウムイオン電池:プラスイオン=リチウムイオンLi⁺

❏正極☛自由電子を吸収して、化合物を生成(還元反応)

1)鉛蓄電池:化合物=硫酸鉛PbSO4

2)ニッケル水素電池:化合物=水酸化ニッケルⅡNi(OH)₂

3)リチウムイオン電池:化合物=コバルト酸リチウムLiCoO2

➋充電時:

❏負極☛自由電子を吸収して、化合物を生成(還元反応)

1)鉛蓄電池:化合物=硫酸鉛が電気分解して鉛Pb、硫酸イオンSO₄²⁻を生成

2)ニッケル水素電池:化合物=金属水酸化物(水素吸蔵合金)

3)リチウムイオン電池:化合物=リチウム炭素化合物

❏正極☛プラスイオンが電解液中に溶け出し、化合物を生成(酸化反応)

1)鉛蓄電池:プラスイオン=水素イオンH⁺

2)ニッケル水素電池:プラスイオン=水素イオンH⁺

3)リチウムイオン電池:プラスイオン=リチウムイオンLi⁺

これらの電解液中の酸化還元反応により、放電時自由電子が負極から放出され、また充電時には自由電子が負極へ吸収されていくのである。図19にそのイメージ図を示した。

 放電中のイメージは一次電池と変わらない。酸化還元反応により、自由電子が負極から正極に流れ込む。その際、負極からプラスイオンが電解液中に溶け出し、正極では外部回路から自由電子を吸収して化合物が出来ていく。活物質減少により電力量が減っていくイメージだ。一方、充電中では充電器などにより自由電子を負極へ吸収させて、放電時に放出させる自由電子を貯めていく。正極では放電時にプラスイオンを放出させる化合物を生成する。いわゆる、活物質増加により電力量を増加させていくイメージとなる。。

図19 二次電池のイメージ

出典☛「電気の基本としくみがよくわかる本」福田務@ナツメ社;P75 より加筆

 二次電池に生じる電圧は正極(プラス極)、負極(マイナス極)の活物質によって左右される。各種二次電池の理論的な標準電極電位は、図20に示した。また、実際の平均作動電圧である公称電圧の数値は、活物質、電解液と共に図21に示した。

 この中で、鉛蓄電池の公称電圧は2V、6セル¹⁾で12Vというのがクルマの標準仕様となっている。ただ実際の1セル作動電圧は2.30~2.45Vと少々大きな値を示す。6セルを直列で結線するため13.8V~14.7Vとなり、実際には13.8Vがクルマの作動電圧と考えられている。一方、リチウムイオン電池は正極がコバルト酸リチウムの場合、放電終止電圧が2.5V、満充電電圧が4.6Vで公称電圧は3.6Vとなっている。@2021.10.2記、2021.10.12修正

図20 各標準電極電位

出典☛「充放電時に二次電池内部では何がおこっているのか」松定プレシジョン より加筆

図21 各種二次電池の仕様と公称電圧

出典☛「電気の基本としくみがよくわかる本」福田務@ナツメ社;P74 より加筆

《専門用語の解説および参考文献》

1)セル☛電池の構成単位の一つで、単電池とも呼ばれる。二次電池は一定の出力・電圧・容量を得られるように複数のセルを接続して作られており、それをパッケージングしたものが一般にバッテリーと呼ばれるものになる。@蓄電池バンク

2)標準電極電位☛電池の電気特性は理論的にどれだけの電位を出しうるのかを表したもの

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