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1-2 水流と電流

機械屋には理解し難い電圧(電位差)の正体?

 電流は自由電子の流れであり、それはクーロン力より生じるということが分かったとするか、もしくはそんなイメージが想像できたとしよう。電流というからには「流れる」ということが、キーワードになる。機械屋が想像するのは、重力場での「川が上流から下流にながれる」というイメージである。そこで、水流と電流を対比させて考えてみよう。

 図4に双方の「流れる」というイメージを示した。先ず分かり易い水流から改めて考えていこう。左側は水位の高いタンク内の水、右側は水位の低いタンク内の水である。水位hとはニュートン力学で学んだように、位置エネルギーのポテンシャル¹⁾を指す。山の川から平野の河川に水が流れるのは、山の水の位置エネルギーが高いからである。左右のタンク内の水に水位差がある時、図示の破線のバルブを開くと左側タンクの水は、中間パイプを通って右側タンク内に流れ込む。水位差があり、バルブ開にすると水流が発生する。そして、左右タンク内の水位差がなくなれば水流は止まる。

電位は電気エネルギーのポテンシャルで電位差は電圧と呼ばれる!

 同じことが電流にも言える。ここで、電位という新しい言葉が登場する。電位とは水流における水位に相当するもので、電気エネルギーのポテンシャルを示し、基準は電気的に中性な状態となる。左側にはプラスに帯電した電位が高い物質、右側にはマイナスに帯電した電位の低い物質がある。ここで、水流のパイプに相当する導体に付けられたスイッチを同じようにONにすると、前節で説明したように、右側の自由電子は導体を通って左側の物質に流れ込むことで電流が発生する。言い換えれば、スイッチONにするとプラスの電荷がマイナス側に流れ込み、そして左右物質内の電位差がなくなれば、電流は止まる。

 この話の中に登場する水位差の相当するのが電位差ということになる。電位差は日常使われる言葉では「電圧」と呼ばれている²⁾。

図4 水流と電流・・・その1「流れる」

出典:「電気の基本としくみがよくわかる本」福田務@ナツメ社;P16 より加筆

電池は電流に必要なポンプ!

 さて、図4左の水流を止めずに、ひたすら流し続けるにはどうすればいいのか?それは例えば図5上に示したように、パイプ内の水車で仕事を終えた後、下流のタンクBに吸い上げポンプを付けてタンクAに戻してやればいい。ポンプで水位を上げてやるのだ。

 同じことが電流でも言える。図4右の電流を流し続けるには、高電位で導体内のモーターで仕事を終えた後、低電位になってしまった電位をポンプに相当するものとして電池で電位を上げてやればいいのだ。つまり、電子側から考えると、マイナス極からプラス極に電子e⁻が流れ込んでも新たな電子e⁻を電池から送り込んでやればいい。一言で言えば、水流でポンプの役目を果たしているのが、電流では電池ということだ。電位を上げてあげる電池をこれから学んでいこう!@2021.9.13記

図5 水流と電流・・・その2「エネルギー差を生む」

出典:「電気の基本としくみがよくわかる本」福田務@ナツメ社;P17 より加筆

《専門用語の解説および参考文献》

1)位置エネルギーはあくまで質量mと重量場の大きさGにより、「mGh」で表される。

したがって、基準からの位置hはあくまで位置エネルギーのポテンシャルを示している。

2)静電気力による位置エネルギー☛ニュートン力学の位置エネルギーmGhに相当するのは、電位V(V)にある電気量q(C)の電荷が持つ静電気による位置エネルギーは「qV」で表される。電位、電圧はあくまでポテンシャルを示すもので、位置エネルギーではない。水位から考えれば、よく理解できると思われる。

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