コロナ禍で2020年新車販売台数は24%減少!
2020年初めから世界中に拡散していったコロナ禍の影響で、自動車産業界も例外なく大きなダメージを受けた。欧州の新車販売台数の2001年から2020年までの推移を図4-1に示した。2020年には年間の新車販売台数が24%も落ち込み、1,194万台¹⁾となった。2-3節で触れたように、2013年における保有台数2.21億台が2030年でもそのまま維持されるとして仮定した年間の新車販売台数1,470万台に対しても19%減少(地球温暖化減速にとっては良いことではあるが・・・)となる。1,500万台の新車販売を誇っていた欧州市場では、第4章の冒頭で触れたように、2021年95g/㎞規制を順守すべく欧州電動化は大きく動き出し始めていたのだった。
出典☛「2020年12月欧州新車販売台数速報」JATO JAPN Limited@2021.2.3 より加筆
2020年9月の電動化率は何と25.2%、その半分がEV化率!
2-3節で触れたように2019年には電動化(HV・PHV・EV)は8%、その半分の4%がEV・PHVであった。図4-1の2011年1月から2020年9月までの毎月のディーゼル車、ガソリン車、電動車(マイクロHV、HV、PHV、EV)のシェア%を図4-2に折れ線グラフで示した²⁾。2011年ではディーゼル化率55%前後、ガソリン車44%前後、電動車1%以下という状況であった。
ところが、2015年9月のVW社のデフィートデバイス³⁾発覚から、ディーゼルシェアは徐々に下がり始め、5年後の2020年9月には半減以下の24.8%まで落ち込んでいる。ガソリン車シェアは2015年9月からディーゼルシェアを補うように増加し始め、2019年9月には59%まで駆け上がった。したがって、2016年➡2019年では平均CO2が下がるどころか、徐々に増加していった(第1章の図3参照)。
一方、電動車シェアは2021年規制を見据えて2019年9月までに徐々に増加し始め、9月単月で11%まで伸ばしてきた。そして2020年に入ると、図4-2からも分かるように、電動化率は急激に増加して2020年9月単月で25.2%まで伸ばしてきた。何とあのディーゼルシェア24.8%を抜いてしまったのである。これが最近言われている、「欧州電動化革命」である。@2021.3.14記
出典☛「2020年9月欧州新車販売台数速報」JATO JAPN Limited@2020.11.6
《参考文献および専門用語の解説》
1)「2020年12月欧州新車販売台数速報」JATO JAPAN Limited@2021.2.3
2)「2020年9月欧州新車販売台数速報」JATO JAPAN Limited@2020.11.6
3)ディフィートデバイス(Defeat device)☛内燃機関を有する自動車において、排気ガス検査の時だけ有害な排出物質を減らす装置@Wikipedia