CO2を下げるにはEVに賭けるしかないのだろうか?
さて、第2章では主要地域のCO2削減に対するポテンシャルみたいなものを算出して意見を述べてきた。パリ協定のCO2を30%削減するという約定目標を達成するには、残念ながらEVの力を借りなければ非常に難しい。2030年には欧州では20%、米国では全50州にてZEV規制を施行して23%、そして日本でも10%のEV化率を達成しなければ、CO2を30%削減するという目標は不可能であるという計算結果になった。最大自動車市場の中国に至っては、大気汚染とEV化、世界最大人口という混沌とした要因の中でCO2削減に取り組まなければならない。中国の場合、他の諸国とは少々戸惑う点が多いのも事実である。しかし、自動車の最大市場であり、現在EV世界シェアが40%、国内EVシェア5%という国である。当然この国の今後の動向は重要である。
クルマのCO2を削減していこうとする中で、EVは今のところ最も有効な手段であると思われているが、本当にこのEV化に賭けるしかないのだろうか?現在EVの実力はどの程度まで進化しているのであろうか?EV三悪と言われる価格・距離・充電時間の問題はどの程度解決しているのであろうか?その解決のためのKey ComponentであるLiBの実力は?ポストLiBの可能性は?などといった点まで掘り下げて話を進めて行きたい。@2021.2.28修正
《参考文献および専門用語の解説》
1)LiB☛Litium ion Battery の略。高エネルギー密度、高電圧作動、長寿命などの観点から、電気自動車(EV)用バッテリーやスマホ向けバッテリー、家庭用蓄電池などに採用。