さて、EV化率上昇に欠かせないのは、Well-to-Wheelの観点からも発電CO2量を削減することが最も肝要となる。図4-24には2015年時点で2010年に評価した電源別CO2発生量がまとめてある。2013年実績では震災直後の原発稼働の中止もあって、火力発電割合は87.7%と90%近い数字を示していた。それが2020年実績では再エネ発電割合が21.7%と増加して火力発電を74%まで抑え込んでいる。平均CO2量も623➡550ℊ/kWhと12%削減出来ている。ただ、従来目標では32%程度であったのが、今回46%と大きく削減目標が上げられた。従来目標割合を参考にしながら、本稿では独自に目標電源別割合を仮定してみた。
石油火力発電、原子力発電の割合をそのままにして、他の火力発電割合を下げ、再エネ発電割合を増やして平均CO2量を算出してみた。具体的には再エネ発電割合を従来の22➡35%と上げ、その分火力発電割合をそれぞれ20%まで減らしてみた。再エネ発電割合は7年後の2020年実績で既に21.7%まで達成できているため、同じ上昇割合でいけば35%は可能な数値である。
結果的には黄色で示した新目標に変えることにより、発電CO2発生量は2013年比で47%削減できることが分かったのである。
出典☛「原子力・エネルギー図面集(2015 2-1-9)」@電気事業連合会 より加筆
2030年再エネ発電割合は35%必要!
図4-24において電源別割合の新目標によれば、火力発電割合を2020年実績74%から2030年には43%(石炭火力20%、石油火力3%。LNG火力20%)に削減することになる。これは世界的に見てどのれべるなのであろうか?図4-25には2019年時点でまとめた国別の電源構成を示している。デンマーク、フランス、スウェーデンを除けば、45~60%が火力発電という構成になっている。しかしこれはあくまで2019年時点の数字である。日本が2030年で火力発電割合43%というのは決して少ないとはいえない。むしろ、2030年でもドイツ、英国よりも10年遅れていると言わざるを得ない。そして、欧州はグリーン電力、グリーン水素に力を入れている。当然日本もそれに見習うべきである。そこで、次に来るべきEV化社会(といっても2030年ではあるが)を迎えるにあたって、日本は何をすべきなのであろうか?国(政府)、クルマ会社、電力会社、燃料供給会社、そして国民がクリーン電力社会、グリーン水素社会に向かって、今何をしなければならないのであろうか?@2021.5.7記
出典☛日経Automotive2021年4月号;P69 より加筆