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第35話 実燃費と実CO2

「 さて話を、個々の実燃費から実CO2を算出することに戻そう。 ガソリンの主成分の一つであるオクタンC8H18が燃焼した時の化学反応式を思い出してほしい:

ガソリン燃焼➡C8H18+12.5O2=8CO2+9H2O+[熱エネルギー]

この式で炭素C=12(kg)、水素H=1(kg)、酸素O=16(kg)とすると、“オクタンC8H18”の重量、燃焼後のCO2の重量は次のようになる:

オクタン重量(C8H18)=12×8+1×18=114(kg)

燃焼後の重量(CO2)=8×(12+16×2)=352(kg)

これはオクタン114kgを燃やすと、CO2を352kgも発生させることになる。つまりガソリン1kg当たりの燃焼により発生するCO2重量は

CO2重量(kg)/ガソリン(1kg)=352/114=3.09(kg/kg)

一般に、ガソリンの比重はレギュラーで0.75(0.65~0.80)、ハイオク0.78の値が取られるため、ここではレギュラーガソリン1L当たりの重量を0.75kgとする。したがってガソリン1Lの燃焼により発生するCO2の重量は、

CO2発生重量=3.09×0.75=2.32(kg-CO2)/(L-ガソリン)=2.32×1000(gr/L)

これまで扱ってきた実燃費(km/L)から、距離1㎞走行する時に発生するCO2の重量は、次式で求められる:

実CO2(gr/km)=CO2発生重量(gr/L)/実燃費(km/L)         

      =2.32×1000(gr/L)/実燃費(km/L)

以前説明した実燃費データを用いて、上記の式で各クルマの実CO2を計算した。その結果、図5-1に示した値となった。参考のため、モードCO2の値も示した。」

「なるほどね。実燃費が分かれば、実際に自分のクルマが1km走行する度に、どれだけのCO2を大気に排出することになるのか、計算できるんだ。ところで、モードCO2は、どういう意味?」

「これは日本のJC08¹⁾モード走行時の推定値を示したつもりだ。2013年前後ではe燃費とモード燃費の比は、GVで0.75、軽自動車で0.70であった。つまりモード燃費よりも3割程悪くなるという意味だね。ところが、2015-2016年の2年間における比は少々悪くなり、GV=0.71、軽自動車=0.66、HV=0.65となっている。日本の実走行パターンとJC08走行パターンが次第にズレ始めた感じだね。そこで、e燃費(実燃費)とモード燃費の比は、2013年では0.75、2015-16年では平均値=0.67≒0.70を適用することにした。

実燃費(km/L;2013年)=モード燃費(km/L;2013年)×0.75  

実燃費(km/L;2015-16年)=モード燃費(km/L;2015-16年)×0.70

と表される。また、燃費(km/L)∝1/CO2(gr/km)という関係だから、

モードCO2(gr/km;2013年)=実CO2(gr/km;2013年)×0.75  

モードCO2(gr/km;2015-16年)=実CO2(gr/km;2015-16年)×0.70

下段の式で計算した結果を、図5-1の表の下段にモードCO2として示した。」

「なるほど。ここで、図5-1のGV40が102gr/kmという値は、結構低い数字だよね。欧州の2015年燃費規制値は130gr/kmだから、日本の2015-16年のクルマはかなり燃費で優秀なんだね。欧州モードNEDC²⁾と日本モードJC08の燃費比率は同じなの?」

「細かい話になるが、2012年頃に小型車、大型車、SUVなどでJC08モードと欧州モードNEDCとの燃費を測定したところ、欧州モードNEDCの方が1.1~1.2倍燃費(km/L)が伸びる、つまり日本よりもモード規制は1-2割ほど甘くなるということだね。ということは欧州モードNEDC ではCO2の発生量が1/1.15=0.87の割合でさらに下がる結果³⁾となる。 ただし、ここではJC08モード≒欧州NEDCモードと考えていい。それでも日本のクルマは既にGV40を除く、軽自動車、HV40の2車種は2021年の欧州燃費規制95gr/kmを軽くクリアしていることが分かる。」

「なるほどね。最近の日本はHVや軽自動車を好む傾向にあるし、欧州モードは高速走行の時間が長いので日本のクルマの欧州モード燃費は、平均的に良くなるかもしれないね。」

「日本車は欧州車を含めた世界でもトップクラスの低燃費車だと思うよ。ところで、話を戻すね。さて2013年に日本が保有していたクルマの実燃費(推定値)から実CO2を算出して平均CO2を求め、2030年の目標平均CO2を計算してみよう!」

「平均CO2か?2013年日本が保有していたクルマの平均実燃費、平均CO2はどの程度の値になっていたんだろうね?そして2030年の所有台数は一体何万台程度になって、結果として2030年平均CO2の目標値はどの程度になるんだろうか?面白くなってきた!」

純一郎の興味も一段と高まったところで、明日また続けることにした。@2018.12.25記、2019.8.3修正

 

《参考文献および専門用語の解説》

1)JC08☛ 2011年4月から施行された、日本の燃費(㎞/L)測定方法の一つ。1リットルの燃料で何キロメートル走行できるかを、いくつかの走行パターンから測定。

2)NEDC☛New European Driving Cycleの略。欧州の燃費試験の走行モード。走行1kmでどのくらいのCO2を排出するか、100㎞走行に何リットルの燃料が必要なのかで表示するのが一般的。

3)NEDCと10・15とJC08モード@RAKUTEN BLOG(2012.3.8)

 

図5-1 実燃費と実CO2@2015-16年

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