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1-5 電位差を維持する電池

さて、電位差がなくなれば導線には自由電子が流れなくなり、電気は仕事が出来なくなります。そのためには⊖帯電体の電位を保つ、⊖帯電体と⊕帯電体の電位差を保つ必要があります。そこで、電池が登場します。ここでは色々な電池の中で、人類史上最初のボルタの電池(注1)を例に取り上げて、電位を保つことが出来るしくみを説明しましょう!

図1-7にボルタ電池の構成を示しました。

希硫酸水溶液(電解液注3)の中に、亜鉛板と銅板を入れます。亜鉛板から亜鉛イオン(⊕)が電解して溶け出し、残りの価電子は自由電子(⊖)となって亜鉛板に残ります。⊖極の誕生ですね。

 ❑亜鉛板:Zn➡Zn²⁺(液中へ)+2e⁻(亜鉛板に残る)

 

一方、銅板の銅もイオンになろうとしますが、亜鉛イオン(⊕)は銅イオン(⊕)から遠ざけられてイオン化出来ずに銅板のまま残っています。

電解液は硫酸イオン(⊖)と水素イオン(⊕)に電離しています。水素イオン(⊕)も同じく亜鉛イオン(⊕)の強さから遠ざけられて、銅板の近くに集まっていきます。⊕極の誕生ですね

 ❑銅板:H₂SO₄(希硫酸)➡2H⁺(銅板へ)+SO₄²⁻(液中へ)

 

このままでは、亜鉛板は自由電子(⊖)で⊖極、銅板は水素イオン(⊕)が集まったことで⊕極、亜鉛板(⊖極)と銅板(⊕極)には電位差が生じます。ただし、亜鉛板(⊖極)が自由電子で飽和状態になると、電解液内のイオン化は止まってしまいます。

 

注1)ボルタ電池➡イタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタが1800年に世界で初めて発明した化学電池(一次電池)。

注2)イオン化傾向➡金属イオンで⊕イオンになりやすい(価電子を自由電子にしやすい)ことをイオン化傾向が高いという。亜鉛Znは銅Cuよりもイオン化傾向が高く、イオンになりやすい。理由については、チャツピーに聞いてみて下さい。

注3)電解液➡イオンを水や有機溶剤に溶かし、電気を通すようにした溶液。希硫酸水溶液は水素イオンと硫酸イオンが電離した電解液

 

図1-7 ボルタ電池(放電前)

注)「電気の基本としくみがよくわかる本」福田務監修;p58 から引用

 

次に図1-8に示した電気回路を作ります。亜鉛板と銅板、そして中間に電球をおいてすべてを導線でつなぐのです。

すると、亜鉛板(⊖極)に貯まっていた自由電子⊖は、両極に生じていた電位差で導線内を通って(次々と自由電子が押し出されて)、銅板(⊕極)に移動します。つまり、電流が発生したのです。そのため、電球も点灯しました。銅板に移動してきた自由電子⊖は、銅板近くに浮遊していた水素イオンと結合して、水素ガスとなり気泡となって液中外部に出ていきます。亜鉛板に滞留していた自由電子⊖は次々と継続的に銅板に移動していきます。

その結果、亜鉛板(⊖極)では自由電子が減少してしまうため、再度亜鉛が液中に電離して亜鉛イオンとなり、自由電子を亜鉛板に放出(残留)させて、銅板(⊕極)との電位差を維持します。その結果、これまで通り自由電子⊖を送り出すことができるようになります。⊕極では亜鉛板に滞留していた水素イオン⊕と自由電子⊖が結合して水素ガスを形成して外部に放出されます。

一方、電解液中ではこれまで貯まった亜鉛イオンが飽和状態になり、硫酸イオンと結合して硫酸亜鉛になります。

 ❑正極:2H⁺(正極で滞留)+2e⁻(負極から移動)➡H₂(水素ガス)

 ❑電解液:Zn²⁺+SO₄²⁻➡ZnSO₄(硫酸亜鉛)

 

ボルタの電池では、自由電子⊖を放出(残留)させた負極と、水素イオン⊕が集結した正極との電位差を維持するため、自由電子は正極に次々と移動していくのです。つまり、ボルタの電池は、電解液中の化学反応によって負極に自由電子を放出(残留)させることで電位差を作る装置であると同時に、導線内の電位差を発生させることができる装置であると言えます。このしくみは全ての電池の役割に共通して言えることで、この役割のお陰で電流を継続的に発生させることが出来ます。

蛇足ですが、電池を「水をくみ上げるポンプ」に例える図を見かけますが、正確には間違いです。水は循環していますが、自由電子は負極での化学反応(電離)で負極に連続的に放出(残留)させられ、それが移動して正極で化学反応をして順次化学反応物を生成、要は消滅してしまいます。それですから、自由電子は循環するのではなく、自由電子は負極で次々と新しく放出されているのです。

 

図1-8 ボルタ電池(放電中)

注)「電気の基本としくみがよくわかる本」福田務監修;p59 から引用

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