「ボルタ電池」では負極⊖で送出(残留)された自由電子⊖によって導線内に正極との電位差が生まれ、自由電子⊖が導線内を正極⊕に移動すること、これが電流の正体だと学びましたね。
そこで、折角電池のことを触れたことでもあり、私たちの生活の中で身近な電池構造を説明しておきます。世の中の多くはボルタ電池に代表されるように、電極となる物質(活物質¹⁾)と電解液の組み合わせることにより、化学反応を起こして継続的に電気を作り出す電池、「化学電池」と言われるものが主役になっています。化学電池には、使い切りタイプの「一次電池」と充電することで繰り返し使用できる「二次電池」の2種類があります。一次電池にはアルカリ電池などが、また二次電池にはリチウムイオン電池、クルマの鉛電池などがあります。
ここでは、代表例という事で一次電池には「アルカリ電池」、二次電池には「リチウムイオン電池」を例として取り上げることにしました。
アルカリ電池は、ボルタ電池から約150年後の1955年に誕生しました。ボルタ電池の「負極から電子を送出する」という基本原理は受け継ぎつつ、材料や構造を改良することで、現在でも家庭で広く使われる高性能な一次電池へと発展したということです²⁾。
電極(活物質)には正極⊕に二酸化マンガンMnO₂、負極⊖には亜鉛Zn、電解液はアルカリ性が強い水酸化カリウム³⁾(KOH)の水溶液を使用します。さらに、両極の間には紙セパレータ―を入れて電子e⁻を通さないよう、常に絶縁します。図9にアルカリ電池の両極内の化学反応を示しますので、両方を見ながら説明を読んで下さい:
❑負極⊖:Zn(活物質)+2OH⁻(水酸化物イオン)
➡ZnO(酸化亜鉛)+H₂O+2e⁻(⊕極へ移動)
@亜鉛Znを水酸化物イオンOH⁻で酸化して酸化亜鉛、水を生成、自由電子⊖を送出
❑正極⊕:MnO₂(活物質)+H₂O+e⁻(⊖極から)
➡MnOOH(オキシ水酸化マンガン)+OH⁻(水酸化物イオン)
@MnO₂は、より安定なMnOOHになるために、水H₂Oから水素H⁺、電子⊖を受け取る。その結果、水の残りはOH⁻となる。
❑電界液中:KOH(水酸化カリウム)+H₂O➡K⁺+OH⁻+H₂O
@水酸化カリウムKOH:KOHという中性の分子がたくさん集まっているわけではない。
K⁺とOH⁻というイオンでできている。
まず、負極⊖では亜鉛Znが酸化されて、酸化亜鉛ZnO、水H₂Oが生成され、自由電子e⁻が送出されます。酸化が進むと、陰極に自由電子e⁻が多くなり、正極との間、導線内に電位差が生じます。導線内のスイッチ(不明記)がONされると、自由電子e⁻が導線内を通って電流が流れ、正極に移動します。
一方、正極⊕では二酸化マンガンMnO₂と水H₂Oが移動してきた自由電子e⁻との化学反応により、より安定なMnOOHになるために、水H₂Oから水素H⁺、導線から来た自由電子⊖を受け取ります、その結果、水の残りはOH⁻となってしまいます。
ここで、問題は負極⊖ではOH⁻が減少し、正極⊕ではOH⁻が増加しているということなんです。そこで、化学反応、電気力とは無関係な濃度バランスがとられようとしてます。正極⊕付近のOH⁻が濃くなり、反対に負極⊖付近のOH⁻濃度が薄くなっていきます。そのため、電解液中の濃度バランス一定にするという力が働き、紙セパレータを通り抜けて、OH⁻が負極側に移動していくのです。そして、自由電子⊖を送出していくのです。
これがアルカリ電池が電気を流すメカニズムとなります。くどいようですが、負極⊖にある自由電子⊖を導線から正極⊕に移動し、二酸化マンガンMnO₂周りでの化学反応により、オキシ水酸化マンガンMnOOHを生成。同時に生成した水酸化物イオンOH⁻には液中負極⊖まで自由電子⊖を運ばせているのです。
⊖極で自由電子e⁻が送出されることはボルタ電池と同じですが、正極で生成された水酸化物イオンOH⁻が⊕極から電解液中を移動して⊖極に自由電子e⁻を移動させる点は面白いですね。ここでは自由電子⊖が導線を移動して⊕極に行き、電解液中では水酸化物イオンOH⁻が自由電子を⊖極に運んでいるのです。
ところで、化学反応が進むと生成物MnOOH、ZnOが増えて活物質MnO₂、Znが減少していくため、これがアルカリ電池の寿命劣化に大きく影響していきます。
注1)活物質:電池の電解液の中で化学反応を起こし、電流を流して電気エネルギーを生み出す物質のことをいう
注2)CHAT GPTより引用
注3)水酸化カリウムKOHは、K⁺イオン、OH⁻水酸化物イオンが規則正しく並んだ結晶。
つまり、KOHは最初からK⁺とOH⁻というイオンでできている、