さて、電池の⊖極で送出(残留)された自由電子⊖により、導線内に電位差が生まれ、自由電子⊖が導線内を流れて⊕極に移動できたことで電流が継続的に得られることを学びましたね。
ここでは、折角電池のことを触れたことでもあり、私たちの生活の中で身近な電池構造を説明しておきます。
世の中の多くはボルタ電池に代表されるように、電極となる物質と電解液の組み合わせることにより、化学反応を起こして継続的に電気を作り出すものです。それには、使い切りタイプの一次電池と充電することで繰り返し使用できる二次電池があります。
一次電池にはアルカリ電池などが、また二次電池にはリチウムイオン電池、クルマの鉛電池などがあります。
ここでは、代表例という事で一次電池には「アルカリ電池」、二次電池には「リチウムイオン電池」を取り上げることにしました。
アルカリ電池は、ボルタ電池から約150年後に誕生しました。ボルタ電池の「電子を取り出す」という基本原理は受け継ぎつつ、材料や構造を改良することで、現在でも家庭で広く使われる高性能な一次電池へと発展したということです¹⁾。
電極(活物質²⁾という)には⊕極に二酸化マンガンMnO₂、⊖極には亜鉛Zn、電解液はアルカリ性が強い水酸化カリウム³⁾(KOH)の水溶液を使用します。さらに、両極の間には紙セパレータ―を入れて電子e⁻を通さないように絶縁します。
図9にアルカリ電池の両極内の化学反応を示します:
⊖極:Zn(活物質)+2OH⁻(水酸化物イオン)
➡ZnO(酸化亜鉛)+H₂O+2e⁻(⊕極へ移動)
⊕極:MnO₂(活物質)+H₂O+e⁻(⊖極から)
➡MnOOH(オキシ水酸化マンガン)+OH⁻(水酸化物イオン)
電界液中:KOH+H₂O➡K⁺+OH⁻+H₂O
簡単に説明しますと、⊖極で亜鉛Znが酸化されて、酸化亜鉛ZnO、水H₂Oが生成され、自由電子e⁻が送出されます。酸化が進むと、e⁻が多くなり⊕極との間に電位差が生じます。導線内のスイッチ(不明記)がONされると、自由電子e⁻が導線内を通って電流が流れ、⊕極に移動します。
一方、⊕極では二酸化マンガンMnO₂、水H₂Oと移動してきた自由電子e⁻との化学反応により、オキシ水酸化マンガンMnOOHと水酸化物イオンOH⁻が生成されます。すると、⊖極内のOH⁻濃度が⊕極内のOH⁻濃度よりも薄くなり、濃度勾配を同じくするため、紙セパレータ(絶縁材)を通って水酸化物イオンOH⁻が⊖極に移動します。
これがアルカリ電池が自由電子e⁻を流すメカニズムです。⊖極で自由電子e⁻が送出されることはボルタ電池と同じですが、水酸化物イオンOH⁻が⊕極から⊖極に電解液中を移動し、⊖極で自由電子e⁻を送出させる点は面白いですね。
結局、化学反応が進むと生成物MnOOH、ZnOが増えて活物質が減少していくため、これがアルカリ電池の寿命に大きく影響していきます。
注1)CHAT GPTより引用
注2)活物質:電池の電解液の中で化学反応を起こし、電流を流して電気エネルギーを生み出す物質のことをいう
注3)水酸化カリウム:カリウム(K)と水酸化物(OH)が結び付いた、強いアルカリ性の物質。白い固体で水によく溶け、イオン化する